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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「一年に一度のおめでたい日だよ。楽しも…ね?」
「…うん」
自分はともかく。
折角祝ってくれようとしている麻衣に、確かに申し訳なかった。
泉夏は頭の中を切り替えた。
「ね、今日何するんだっけ?」
「誕生日の人が行きたい所へどこへでも。食べたい物はなんでも。やりたい事があればとことん付き合います」
大仰に、麻衣が頭を下げた。
「ほんと?一日お姫様でいいの?」
「その代わり。十一月の私の誕生日は、とことん付き合ってもらうからね」
「勿論!」
え、どうしよ。
どこ行こ。
何食べよ-真剣に思案する泉夏に、麻衣は囁いた。
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