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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
そして、結論付けた。
これは夢のようで。
でも紛れもなく現実の世界で起こっている事だと-。
ベッドサイドの仄かな灯りだけの室内。
彼女を抱き寄せた。
薄暗い部屋の中。
そして何より、ベッドの中。
互いの身体を密着させるという行為は-もう心臓が破裂しそうだった。
彼女を抱く手は情けないのは承知で、緊張で微かに震えてさえいた。
十も年上の大人らしく。
男らしく。
もっと余裕で振る舞えたならどんなに格好いいだろう。
でも無理だった。
嗤われても仕方がない。
嗤われても構わなかった。
こんなにも愛しいひとを抱き締めて過ごす、初めての夜を与えてもらったのだから。
神様に。
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