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第14章 朧夜の春

『朝まで一緒にいたい』

そう言ってもらえ。
まさか流石に嫌がられる事はないだろうと思っていたけれど。
それでもやはり、ベッドの中でその身体を抱き締めるという事は－自分だけでなく、彼女にとっても特別な意味を持つと思った。
恐る恐る抱いたと同時に自らの胸に擦り寄られ、激しく動揺した。
このとてつもなく速い胸の音を聞かれてしまう－羞恥が一瞬襲ったが、それよりも柔らかで香しい彼女を欲する心の方が遥かに勝った。
無意識のうちに腕に力が入り、刹那きつく抱き締めてしまったらしかった。
胸の中の彼女が、小さな声を漏らした。
慌てて、我に返る。
「泉夏」
－大丈夫？
不安気に問えば、微かな灯りの中、彼女は微笑んだ。