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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「全然平気」
泉夏はこれ以上の密着は無理なほど、秀王に身体を寄せた。
痛い思いをさせてなかった事に安堵し。
自分を信頼して身を預けてくれてる喜びに、愛おしさはいや増す。
最早大切に、大事に、彼女を抱き続ける事しか出来ない。
「寒くない?」
肩まで布団を引き上げれば、恥ずかしそうに頷かれた。
「全然寒くない。凄くあったかい。だって先生とこうしていれるから」
ぎゅっと、抱きつかれた。
もう既に、どうしていいか分からぬくらい可愛いと思ってる。
それなのに、またしても胸を打ち抜かれるような台詞を吐かれ、背に手を回され-あまりに嬉しくて、切なくて、泣きたくなってしまう。
しかしそんな自分に気付かれないよう、努めて冷静を装う。
その身体を抱き締め、艶やかな髪を撫でれば-彼女が囁いてきた。
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