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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「私…私は大丈夫。日曜だし。大学休みだし。なんの予定も入っていない。一晩くらい寝なくたって-」
-平気なの。
縋るような瞳で、彼を見る。
そのあまりの真摯な眼差しに秀王は一瞬圧倒され-それから、口元を緩めた。
「無理してない?」
「全然してない。第一、眠くない」
「そう?」
「そう!」
「なら…俺と同じだ」
「先生も…眠くない?」
期待に胸が大きく波打つ。
遠慮がちに問えば、優しい顔で肯定された。
「うん、眠くない。厳密に言えば『眠れるわけがない』が正しいかもしれないけれど」
少し意味あり気な言い方をされた。
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