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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
『今度は寝ない。朝までずっと起きてる』

言った傍から、再度うとうとしてしまっていたらしい。
いけない-頭が覚醒したと同時に、急いで上半身をベッドから起こす。
振り返り、ベッドサイドの時計を見れば-三時前。
思わず安堵の息を漏らす。
まだ数時間、一緒にいられる-。
なんの前触れもなくいきなり起き上がられ、かなり吃驚していた秀王だったが-やがて従うように、自らの身体も起こした。
「まだ朝じゃないから大丈夫だ」
安心させたくて言ったのに、彼女は納得してないらしかった。
「…厭味?」
「なに…?」
泉夏の呟きの意味するところが、秀王は分からない。
彼女がいじけた口調で告げてくる。
「…さっき起きてるって言ったばかりなのに、また眠ってしまったから」
何を言うかと思ったら-秀王は拍子抜けし、すかさず頰を緩めた。
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