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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
その声で囁かれる度。
その瞳で見つめられる度。
その指で触れられる度。
その腕に抱き締められる度。
その唇で口付けられる度に。
大袈裟じゃなく、自分は常に彼に胸が高鳴っている。
上手く言えないけど、目に見えないおとなの色気-そういうものに激しくどきどきさせられる瞬間がある。
これ以上は不可能だと思うくらい好きなのに-そんな時、その想いはあっさり覆される。
誘われて。
夢中になって。
彼への想いに溺れているのは。
好きな気持ちが大きいのは。
絶対に自分の方だと思ってた。
それが不満なわけじゃないけれど。
こんな気持ちに彼もなってくれたなら、どんなにか嬉しいだろうって-。
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