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第14章 朧夜の春

視線を繋げれば－こちらを静かに窺う彼女がいた。
自分に対する怒りなど一切見受けられない。
恐れさえもないように見えるのは、あまりに都合良く解釈し過ぎだろうか。
軽く息を弾ませながら、ひたすらに自分を待つ姿。
無垢なその瞳に、ようやく我に返る。
「…泉夏」
呟けば、首を傾げられた。
やはり自分に対する負の思いは、感じられなかった。
今ならきっとまだ間に合う－己の愚かさを恥ながら、秀王は泉夏を見据えた。
「ごめん」
真摯に彼女に向き合う。
「情けないの一言だ。弁明のしようもない」
「せんせい…？」
いきなり始まった謝罪に、泉夏は戸惑うばかりだった。
何を、謝っているの－？