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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
「けど」
潤んだ瞳の誘惑を、秀王は断ち切った。
「泉夏と交わした約束があってもなくても。やっぱり今日は…だめだ」
高鳴りかけた泉夏の胸に、鋭い一言が突き刺さる。
我慢してた涙が一瞬で溢れそうになり、眉は顰(ひそ)められた。
その健気な姿は彼を堪らなく刺激し-掻き抱いた泉夏の耳へ、秀王は言を落とした。
「もしかしたら今時古いとか、お互いの好きな気持ちがあれば、そんなの関係ないって思われるかもしれないけれど。泉夏と出逢って三年が経つけど…ふたりでこうして過ごすのは、今夜が初めてだ。そもそも泉夏に『好きだ』と想いを伝えられたのは、昨日が初めてだったし。逆を言えば、昨日初めて『好きだ』と想いを打ち明けたばかりなのに、もうこうしていられるなんて信じられない。少なくとも俺にとっては、有り得ない事だ。舞い上がって、もうこのままの勢いでって…勘違いしてしまいそうになった。けど」
腕の中で身体を強張らせている泉夏に、秀王は告げる。
潤んだ瞳の誘惑を、秀王は断ち切った。
「泉夏と交わした約束があってもなくても。やっぱり今日は…だめだ」
高鳴りかけた泉夏の胸に、鋭い一言が突き刺さる。
我慢してた涙が一瞬で溢れそうになり、眉は顰(ひそ)められた。
その健気な姿は彼を堪らなく刺激し-掻き抱いた泉夏の耳へ、秀王は言を落とした。
「もしかしたら今時古いとか、お互いの好きな気持ちがあれば、そんなの関係ないって思われるかもしれないけれど。泉夏と出逢って三年が経つけど…ふたりでこうして過ごすのは、今夜が初めてだ。そもそも泉夏に『好きだ』と想いを伝えられたのは、昨日が初めてだったし。逆を言えば、昨日初めて『好きだ』と想いを打ち明けたばかりなのに、もうこうしていられるなんて信じられない。少なくとも俺にとっては、有り得ない事だ。舞い上がって、もうこのままの勢いでって…勘違いしてしまいそうになった。けど」
腕の中で身体を強張らせている泉夏に、秀王は告げる。

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