この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
優しい愛には棘がある
第1章 ご注文はイケナイ遊戯
* * * * * * *
日暮れの空が街を覆った。
心咲は二日振りの廃屋で、皐月と美奈、杏とことこの情事の相手を、代わる代わる務めていた。
心身を桎梏していた体面の枷が外れてゆく。羞恥も誇りもどうでも良くなる。
「悪りぃ、ちょっと休憩」
突然、杏が待機していた木箱を立った。
心咲が皐月の愛撫を受けようとしていた時のことだ。
杏に倣うようにして、ことこも扉に足を向けた。
「お前ら疲れたことねぇじゃん。年?」
「腹減ったんだ。ガキが宿題忘れてよぉ、居残りさせても終わんなくて。教師っつーもんは、間食もろくに出来ねぇの」
「私も。今日は体育が二コマもあって、体力きっつー」
「あ、私も。ジムにウザい客がいてさぁ、甘いもん食いてぇ」
「おっ、美奈もか。うっし、ファミレス行くか。ついでに腹いせにカツアゲすっか」
「たまにはストレートにナンパしねぇ?心咲だけじゃつまんねぇ」
「Eカップと相席頼もうぜ」
「女は胸より声だろ。心咲みてーに鈴を鳴らす感じのエッロイの」
「女は頭じゃねぇ?偏差値高ぇやつとデートしたら楽しいじゃん」
「お前、んなことばっかほざいてたら刺されんぞ」
がはは、と、豪快な笑い声が遠ざかっていく。
心咲と皐月が唖然としているのを残して、扉が閉まった。