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優しい愛には棘がある
第2章 Moon crater affection

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 霜月最後の水曜日の朝、紫倉いづる(しくらいづる)は一限目の講義を控えた教室へ向かっていた。


 郊外特有の緩やかな空気がたなびく校庭。

 この大学に通って一年と半年経つが、今朝ほど衝撃的な現場に出くわしたのは、未だかつてなかったことだ。


 問題の光景が広がっていたのは植え込みの死角だ。滅多に学生の姿はない。



 いづるからやや離れた芝生で、見たところ上級生の少年が、一人の少女をどやしつけていた。


「鬱陶しいんだよお前はぁ!!」

「ああっ……」


 ずる…………


 無骨な拳とか弱い頬から鈍い音が生じるや、少女の身体が芝生に崩れた。


 犀利な輪郭をやおら包む姫カットの黒髪が、ほんのり濡れた長い睫毛の影に重なる。戦慄と困憊の混濁した少女の顔色。いっそ脆弱な青白ささえ、少女に宿った精神の貴さを物語っているようだ。クラシカルロリィタと呼ぶにはさっぱりした、それでいてこまやかなレースやリボンが華を添えたXラインの洋服が、可憐な容姿をひとしお明るめていた。
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