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優しい愛には棘がある
第2章 Moon crater affection
「んっ……ふ」
成熟しすぎた肉体は、命じなくても自ら奴隷の本能に従う。
由多香の舌が玩具に伸びた。彼女自身の垂れ流した愛液が、その口内に落ちてゆく。
劣情をぶつけ合うことは出来ても、愛おしくまではならない。
いづるの脳裏に、ふっと、クラシカルな姫君を模したドールのごとく少女の面影が浮かんだ。
あの柔らかな精神を宿したあの人なら、どんなに無垢な姿で乱れて、どんなにまっすぐいづるを見つめてくれることか。
叶わない空想ならいくらでも描ける。
「いづる」
毅然とした女の声に振り向くや、頬に血なまぐさい痛みが走った。
「…──っ」
寝台の側に膝をつき、今一度視線を巡らすと、もう一人の育て親がいづるを見下ろしていた。
「お姉、様……?」
「退屈」
佐和のネグリジェの裾が靡いた。黒い巻き毛を肩に流した知的な女が、恋人の横たわる寝台に腰を下ろした。
今に心音さえ耳に届こう、荒く上下していた由多香の乳房を佐和の手のひらが覆った。
きゅ……と、佐和の二本の指が閉じた。閉じた指の間に艶を帯びた乳首が飛び出し、白い裸体が恍惚とした悲鳴を上げてたわんだ。