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優しい愛には棘がある
第2章 Moon crater affection
「私の可愛い由多香が粗雑な男に犯されている……、そういう残忍なものを見せてくれなくては」
「──……。……ごめんなさい」
「いづるにこういう格好をさせているのは、本物の男なんて呼びつけたくないから。由多香にあんな玩具を使っても、嫌悪感が優るだけ。その点、いづるは都合が良い。しかも由多香と私の娘。どんな風に扱おうと、誰も迷惑しないじゃない」
「…──っ、佐和お姉様……」
佐和の手が、由多香からいづるのおとがいに移った。
由多香を見つめる時とは違う、温度のない目が、いづるを無感情に舐め回す。
「真っ白な雪ほど汚れた土足で踏み荒らせば、そのうたかたの存在感を独占した快感を得られる。私は、一生の内一度で良いから見てみたい……崇高な修道女が、血統書もついていない獣に犯されるところを。美学だわ。美しいものには醜いものが相応しい、繊細なものはぼうぞくなもののために存在している。由多香を慈しむのは私だけで十分すぎる。それなのに、貴女は、このところ優しくなった」
「お気に召さなかったんですね。気付かなく…──っ?!」
佐和がいづるのウエストをかき抱いた。
ジャケットが相殺した丘陵を、痛いほどの手つきが這う。同時に佐和のもう一方の左手が、いづるのみぞおちをまさぐり出した。