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一族の恥
第1章 お母さんへ
 なあ、お母さん。
 あの晩からしばらくして、お母さんが康生を妊娠してるって分かったとき。


「だれの子供や」言うて怒り狂うお父さんに、「お父さんの子や、あんときお母さんにチンコぶっさしてたやん、俺みたもん」って一族の名誉のために嘘つかなあかんかったぼくの気持ち、お嬢様育ちで嘘は絶対あかんって言われて育った正直者のお母さんは、想像したことがあるやろうか?


 康生が生まれたあとも、龍二はひたすら勉強しとった。
 ぼくは夜中に起きて康生にミルクあげとったのにな。
 お父さんとお母さんの仲裁入るのんで忙しくて勉強もろくに出来んかったのにな。
 部活くらいは真面目に出て身体動かさな精神持たんかったぼくを「アホや」て影で笑ってな。



 そんな人生を歩んできたぼくの前に現れた里奈子が、ぼくにとってどれくらいかけがえのない存在やったか、お母さんに分かるか?


 
 ぼくと同じくらい汚れてる里奈子となら、一緒に明るい方向へ手を取り合って努力すれば、いつかはまともな世界に立ち直ることが出来るかも知れへんと、人間に戻れるかもしれへんと錯覚してしまったぼくの気持ちが、分かるか?



 けど、結局な。
 ぼくはな、習性どおり、お母さんゆう川に戻ってきた。
 なんでやろうな。
 お母さんだけは、ぼくを悪く思ってないって、信じたいねん。
 お母さんだけは最後までぼくを受け入れてくれるって、信じたいねん。



 お母さん、ぼくのこと、狂ってるって思う?
 お母さん、ぼくは、間違ってるやろうか?
 お母さん、ぼくもう、辛いわ。
 お母さん、ぼくはもう、はよ楽になりたくてしゃあないねん。




 でもな、お母さん、ぼくは、幸せやったで。


 ほんまに幸せやった。


 お母さんがぼくを生んでくれたから、ぼくは里奈子に出会えたわけよ。
 康生ゆう、可愛い子供にも恵まれたわけよ。
 せやからお母さんには心の底から感謝してる。


 ぼくを生んでくれてありがとう。
 お母さん。


 こんなこと面と向かっては死んでも絶対言えんから、手紙に書いたったわ。


 ほんで・・・。



 親不孝な息子で、ごめんな。




 子が親にする一番の親不孝は、親より先に死ぬことやって聞いた。



 ごめんな、ぼくは、ほんまに親不孝やな。



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