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一族の恥
第1章 お母さんへ
 自転車漕いで店に向かってるあいだ、ぼくな。


 色んなこと考えたなあ。


 里奈子のこと、お母さんのこと、龍二のこと、お父さんのこと。
 親戚のこと店のこと、もう、色々。


 色んな思い出が走馬灯のように蘇ったり。
 それでいて、焼肉食いたいなあとか、専務むかつくなあとか、どうでもいいことを考えたり。


 でも、なんでやろな。


 康生のことだけはな。
 毎晩おねしょして、泣いて起きて、里奈子に抱きしめられて頭よしよしされとった、あの頃のことばっかり思い出して、いろいろ考えてしまっててん。


 図体は里奈子よりでかいのに、脳は5歳児かそこらでとまっとってな。


 赤ん坊がするような甘え方で里奈子を求めてた、あの頃の、小学6年生やった頃の康生のことをよ。


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