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一族の恥
第1章 お母さんへ
 なんでやろなぁ。
 気付いたらぼくな、なにもかも、頭の中から捨ててしまったかのように、康生のことだけ考えてもーてたわ。

 

 仕事中もそやし、今こないして、手紙書いてるあいだも、ずっとそうや。



 康生との思い出はいっぱいあるはずやのに、あの頃の康生のことばっかり思い出して、色々考えてしまうねん。




 なあ、お母さん。
 せやからぼくな、余計に思うねん。



 康生には幸せになってほしい。



 ぼくが殺してもーた、あの3人のぶんも、幸せに生きてってほしい。



 せやから、里奈子にはぼくと別れてもらわなあかんねや。



 金を渡してもらわなあかんねや。



 里奈子しか、康生を幸せにでけへんから。






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