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第1章 お母さんへ

　ぼくには分かんねん。
　アンナは生きとったらあかん子やってん。
　

　そら、人間しかおらんとこまで逃がしたって生かしたってもよかったんかも知れん。
　なんかのドラマとか映画みたいに、新しくパパになったぼくがアンナを守って、逃げたったらよかったんかも知れん。



　けどな、人間には習性ゆうもんがあんねん。



　例えが悪いかも知らんけど、シャケとおんなしや。



　結局は自分が生まれた川に戻んねん。


　
　人生はな、いっぺんきりやないねん。
　潔く諦めて心機一転生まれ変わったほうが幸せなこともあんねん。