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一族の恥
第1章 お母さんへ
 あのクソ、顔中ぼくのしょんべんだらけにして、じきに動かんよおなった。



 半分白目剥いて、なんか知らん、とつぜん吐いたわ。
 ひどいツラやったな。



 そうや。



 あの女、去年、結婚したみたいやな。
 ええマンションに住んでるで。
 あの女の実家からすぐそこにある、タワマンの23階な。

 ダンナはぼくと同じ30そこらの、髪の毛ヒチサンパーマでサイドと後ろ刈り上げた、今風の男よ。
 きちっとしたスーツ着て歩いとるわ。
 まともなツラした気違いやで。

 あの女を常習的に抱けるねんからなぁ。

 穴兄弟とはいえ、ぼくはあのクソを伴侶に選んだあの男を心から尊敬してる。



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