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一族の恥
第1章 お母さんへ
 里奈子の太ももにはな、兄貴につけられた煙草の丸い火傷のあとがたくさんあってん。


 火傷のあとは、まんこの・・・なんていうんやろ。
 中の粘膜のとこじゃなくて、割れ目の外側の肉んとこ、って言うてお母さん分かるかな。
 そこまで、執拗につけられとったわ。


「里奈子は俺だけの女や」いう、俺・・・というか、将来出会うであろう顔も名前も分からない、里奈子を愛した男に対して、11歳そこらやった里奈子の処女貫通したときに兄貴がとった、狂気じみた威嚇がな。

 

 ずっとあとから知ってんけどな。
 里奈子のやつな、ぼくとはじめて会ったときから、ぼくのこと好きやってんて。

 近所の、ほら、恵佳おるやろ。
 あの子と友達やってん、里奈子。

 ぼくが2年なったばっかの頃は1年の恵佳しかマネージャーおらんかったから、恵佳と同じクラスやった里奈子がなんべんか手伝いに来てくれて、それで俺ら出会ってん。

 里奈子のおとんは若い頃社会人でプレーしとった人で、引退後は市立中学に勤めてラグビー部の顧問してて、たまたまうちの部の顧問、ほら、武井先生や、すぐ他の高校に移動になった、あの若いスクールウォーズみたいな先生な。
 
 武井先生が里奈子のおとんの教え子でな。
 武井先生は里奈子に「きみのお兄さんとも、大学で同期やったんやで、不思議やなぁ、きみんちとは縁があるわ」とか言うてた。



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