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一族の恥
第1章 お母さんへ
汚い便所の床の上でな。
ぼくにまでヤラれることになった里奈子はな。
腕もそうやし、火傷のあととか、チチの下んとこにある切り傷のあととか、兄貴がつけた傷とか、兄貴のせいで自分で傷つけてしまった傷とか、しきりに気にしとった。
ぼくにとってはどうだってええようなことを、しきりにな。
そらそうや、里奈子は今まで、男は兄貴しか知らんかったんや。
身体を傷つけた張本人である兄貴に「汚い身体しとるのお」て毎日のように言われて育ってみいや。
そら、ほかの男のまえではだかんぼなる勇気わかんで。
せやから、里奈子はずっと泣いてた。
傷だらけで身体汚いから、それでぼくが里奈子のこと嫌いになるんやないかってそれを心配して、泣いとってん。
腹んなかに、兄貴の3回目の、生むことのでけへん子供を宿した、惨めな状態でな。
「汚いからだでごめん、だいちゃん」言うてさ。
涙で顔ぐしゃぐしゃに汚してさ。
それがな、余計そそんねん。
ぼくな、自分が怖かったわ。
里奈子を大切にしようって思ってたのにな、そういう清らかな想いが音を立てて崩れて、中から真っ黒いドロドロしたのがあとからあとから溢れ出てきてぼくの思考を支配してな、その思考が肉体を支配して、結果、ぜんぜん真逆なことしてる自分がおんねんからな。
ぼくにまでヤラれることになった里奈子はな。
腕もそうやし、火傷のあととか、チチの下んとこにある切り傷のあととか、兄貴がつけた傷とか、兄貴のせいで自分で傷つけてしまった傷とか、しきりに気にしとった。
ぼくにとってはどうだってええようなことを、しきりにな。
そらそうや、里奈子は今まで、男は兄貴しか知らんかったんや。
身体を傷つけた張本人である兄貴に「汚い身体しとるのお」て毎日のように言われて育ってみいや。
そら、ほかの男のまえではだかんぼなる勇気わかんで。
せやから、里奈子はずっと泣いてた。
傷だらけで身体汚いから、それでぼくが里奈子のこと嫌いになるんやないかってそれを心配して、泣いとってん。
腹んなかに、兄貴の3回目の、生むことのでけへん子供を宿した、惨めな状態でな。
「汚いからだでごめん、だいちゃん」言うてさ。
涙で顔ぐしゃぐしゃに汚してさ。
それがな、余計そそんねん。
ぼくな、自分が怖かったわ。
里奈子を大切にしようって思ってたのにな、そういう清らかな想いが音を立てて崩れて、中から真っ黒いドロドロしたのがあとからあとから溢れ出てきてぼくの思考を支配してな、その思考が肉体を支配して、結果、ぜんぜん真逆なことしてる自分がおんねんからな。