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一族の恥
第1章 お母さんへ
父親の話も、母親の話も、なんでもしてくれたで。
学生時代試合に負けるたび家に帰ったら父親に木刀で全身どつかれてた話とか。
母親には「お前は結果も残せへんくせに飯ばっか食らう出来損ないのクズじゃ」て食事のたびに詰られてたって話とか。
モテへん姉貴の性欲処理のために、生理中のマンコを毎月舐めさせられてた中学時代の思い出話とか。
姉貴が自分の上で腰振るたび、肉割れの目立つ肥満腹がたぷついて揺れてたとか。
あるとき腹が立って抑えきれず行為中に抵抗のため姉貴を殴ってしまったら、何も知らない父親が騒ぎに気付いて駆けつけ、結果半殺しにされた挙句、気違いのレッテルを貼られ未だに親子の信頼が回復していない話とか。
社会人時代日本代表にも選ばれた兄貴が引退後ふらっと実家に来て、「おい裕太、明日いっしょに天理行こうや」言うて自転車整備してくれたのに、朝になったら部屋で首吊って死んでた話とか。
「お兄ちゃん!」言うて、泣きながら、母親といっしょに糞尿垂れた兄貴の屍を梁から下ろした話とか。
世間様には「交通事故です」言うて、自殺した兄貴の彼女にもそういうことにして、世間体のために、すべてを保険屋と家族だけの秘密にした話とか。
葬式のとき、泣きながら肩を震わせてる父親に寄り添ったら、呟くように「なんでお前が残っとるんや」て言われた話とか。
まぁ、色々話してくれるような、ふつうの、おっさんやった。
せやからべろべろなった別れ際、終電なくなってタク代もらった別れ際や。
ぼく、言うたんや。
「自分、ほんまは、今日あんたを殺すつもりやったんです」てな。
ほしたら裕太はぼくをタクんなかに押し込んでから、ドアを閉める間際、笑顔のまんまで、こう言うた。
「アホ、俺はとっくの昔にもう、死んどるんや」て。
俺のハーパンのポケットからカッターナイフ抜き取りながらな。
学生時代試合に負けるたび家に帰ったら父親に木刀で全身どつかれてた話とか。
母親には「お前は結果も残せへんくせに飯ばっか食らう出来損ないのクズじゃ」て食事のたびに詰られてたって話とか。
モテへん姉貴の性欲処理のために、生理中のマンコを毎月舐めさせられてた中学時代の思い出話とか。
姉貴が自分の上で腰振るたび、肉割れの目立つ肥満腹がたぷついて揺れてたとか。
あるとき腹が立って抑えきれず行為中に抵抗のため姉貴を殴ってしまったら、何も知らない父親が騒ぎに気付いて駆けつけ、結果半殺しにされた挙句、気違いのレッテルを貼られ未だに親子の信頼が回復していない話とか。
社会人時代日本代表にも選ばれた兄貴が引退後ふらっと実家に来て、「おい裕太、明日いっしょに天理行こうや」言うて自転車整備してくれたのに、朝になったら部屋で首吊って死んでた話とか。
「お兄ちゃん!」言うて、泣きながら、母親といっしょに糞尿垂れた兄貴の屍を梁から下ろした話とか。
世間様には「交通事故です」言うて、自殺した兄貴の彼女にもそういうことにして、世間体のために、すべてを保険屋と家族だけの秘密にした話とか。
葬式のとき、泣きながら肩を震わせてる父親に寄り添ったら、呟くように「なんでお前が残っとるんや」て言われた話とか。
まぁ、色々話してくれるような、ふつうの、おっさんやった。
せやからべろべろなった別れ際、終電なくなってタク代もらった別れ際や。
ぼく、言うたんや。
「自分、ほんまは、今日あんたを殺すつもりやったんです」てな。
ほしたら裕太はぼくをタクんなかに押し込んでから、ドアを閉める間際、笑顔のまんまで、こう言うた。
「アホ、俺はとっくの昔にもう、死んどるんや」て。
俺のハーパンのポケットからカッターナイフ抜き取りながらな。