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星の島で恋をした【完結】
第6章 《六》
真剣な表情に、今度のは明らかに治療のための行為だと知り、セルマは恥ずかしいけれど素直に男のいいなりになることにした。
ボタンを外される度、セルマはどきんとした。
さらりと肩からシャツを脱がされ、セルマの肩が露出した。肩に男の視線を強く感じてぞくりと震えた。
「……これは」
その声にセルマは左肩を見ようと首をひねった。
「っ!」
思ったよりも近い場所に男の金色の髪があり、セルマは慌てて顔を逸らした。どきんどきんと鼓動が早くなっているのが分かった。
「これはどうした」
「……なに?」
「左肩に黒い蔦模様がある」
黒い蔦模様?
「そんなの……なかった」
「なるほど、そういうことか」
男はなにか納得したようだったが、セルマにはさっぱり分からなかった。
「なにがなるほどなのよ!」
「おまえに掛けられていた呪いがここにきたおかげで見えるようになったんだ」
矢が刺さった後、診てもらったときにはそんなことを言われなかったから、それはここの透明な風に当たったおかげなのかもしれない。
「この黒い蔦は血を好む」
「血を……」
「背中側だから見えないかもしれないが、傷口に蔦が突き刺さっている」
「……そのせいで肩から血が?」
「そうだ」
血を好む黒い蔦だなんて。
「蔦……?」
セルマの中でなにかが引っかかった。
つい最近、黒い蔦を目にしたような気がするのだ。それはどこでと考えていると、男が先に答えを口にした。
「黒い蔦を紋章にしてるのは、公爵家だったよな?」
そう言われて思い出したのだ。旅行に出る数日前に公爵家の使いがきて、カティヤ王女に親書を渡していたことを。その親書には公爵家の正式な文書である証の黒い蔦が描かれていた。
その後、それについてどうしたのかセルマは知らないが、もしもあの呪いの矢を射掛けたのが公爵家からの指示だったとしたら、セルマがここにいるのはマズいのではないだろうか。
「カティヤ王女が危ないわ! 私、帰って知らせる」
男の手を振り払ってガゼボを出て行こうとしたセルマの腕を男が引っ張った。
男に腕を引っ張られ、ぎゅっと強く抱きしめられた。セルマは突然のことに驚いて男の腕の中で固まった。
「な……にをっ、するのよ!」
ボタンを外される度、セルマはどきんとした。
さらりと肩からシャツを脱がされ、セルマの肩が露出した。肩に男の視線を強く感じてぞくりと震えた。
「……これは」
その声にセルマは左肩を見ようと首をひねった。
「っ!」
思ったよりも近い場所に男の金色の髪があり、セルマは慌てて顔を逸らした。どきんどきんと鼓動が早くなっているのが分かった。
「これはどうした」
「……なに?」
「左肩に黒い蔦模様がある」
黒い蔦模様?
「そんなの……なかった」
「なるほど、そういうことか」
男はなにか納得したようだったが、セルマにはさっぱり分からなかった。
「なにがなるほどなのよ!」
「おまえに掛けられていた呪いがここにきたおかげで見えるようになったんだ」
矢が刺さった後、診てもらったときにはそんなことを言われなかったから、それはここの透明な風に当たったおかげなのかもしれない。
「この黒い蔦は血を好む」
「血を……」
「背中側だから見えないかもしれないが、傷口に蔦が突き刺さっている」
「……そのせいで肩から血が?」
「そうだ」
血を好む黒い蔦だなんて。
「蔦……?」
セルマの中でなにかが引っかかった。
つい最近、黒い蔦を目にしたような気がするのだ。それはどこでと考えていると、男が先に答えを口にした。
「黒い蔦を紋章にしてるのは、公爵家だったよな?」
そう言われて思い出したのだ。旅行に出る数日前に公爵家の使いがきて、カティヤ王女に親書を渡していたことを。その親書には公爵家の正式な文書である証の黒い蔦が描かれていた。
その後、それについてどうしたのかセルマは知らないが、もしもあの呪いの矢を射掛けたのが公爵家からの指示だったとしたら、セルマがここにいるのはマズいのではないだろうか。
「カティヤ王女が危ないわ! 私、帰って知らせる」
男の手を振り払ってガゼボを出て行こうとしたセルマの腕を男が引っ張った。
男に腕を引っ張られ、ぎゅっと強く抱きしめられた。セルマは突然のことに驚いて男の腕の中で固まった。
「な……にをっ、するのよ!」