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星の島で恋をした【完結】
第8章 《八》

すぐに消えてしまえるのなら、それは願ったり叶ったりだ。
お腹が満たされ、美しい光景を見て忘れていたが、セルマは内容の分からない呪いを受けている身だ。この呪いがどんな条件でいつ発動してしまうのか分からない。
セルマが消えることで呪いが消えるのなら──と考えて、セルマは首を振った。
自分の頭でそう考えても、食事を見て、身体は空腹を訴えた。ということは、本当は心の奥底でセルマはまだ生きたいと思っている。
そうだ、セルマはこんなに諦めのいい性格ではなかったはずだ。
一縷の望みがなくても、それでも足掻いて足掻いて、全力で体当たりをしていたはずだ。
「私は消えたりしない」
そう口にして、セルマは男の手をほどこうとしたが、お腹の前で組まれた手は容易にほどけないどころか、男の妙に高い体温に鼓動を早める結果となった。
「あの弾けているのは命の最期の輝きだ。この世で一番、美しい光景だ」
男はセルマの行動をなんと思ったのか。そう言ってセルマの耳元で甘くて熱い囁きを落とした。
「セルマ」
「っ!」
「おまえが欲しい」
セルマは名乗っていなかった。それなのに男はセルマの名前を知っていた。
そのことに驚いて指摘しようとしたのだが、男の熱い手がセルマの手からするりと抜けだし、妖しくシャツの裾から入り込んできた。セルマは突然のことに驚いたが、すぐに身じろぎをして男の手が侵入してくるのを阻もうとしたがすでに遅かった。
身体を捩って男の手をはずそうとしたが思ったよりがっしりと掴まれていて外せない。直に触れられた手のひらが熱くて、しかもそれが不快と反対側の感覚で力が抜けていく。
「どうして抗わない?」
「抗って……るわ」
お腹が満たされ、美しい光景を見て忘れていたが、セルマは内容の分からない呪いを受けている身だ。この呪いがどんな条件でいつ発動してしまうのか分からない。
セルマが消えることで呪いが消えるのなら──と考えて、セルマは首を振った。
自分の頭でそう考えても、食事を見て、身体は空腹を訴えた。ということは、本当は心の奥底でセルマはまだ生きたいと思っている。
そうだ、セルマはこんなに諦めのいい性格ではなかったはずだ。
一縷の望みがなくても、それでも足掻いて足掻いて、全力で体当たりをしていたはずだ。
「私は消えたりしない」
そう口にして、セルマは男の手をほどこうとしたが、お腹の前で組まれた手は容易にほどけないどころか、男の妙に高い体温に鼓動を早める結果となった。
「あの弾けているのは命の最期の輝きだ。この世で一番、美しい光景だ」
男はセルマの行動をなんと思ったのか。そう言ってセルマの耳元で甘くて熱い囁きを落とした。
「セルマ」
「っ!」
「おまえが欲しい」
セルマは名乗っていなかった。それなのに男はセルマの名前を知っていた。
そのことに驚いて指摘しようとしたのだが、男の熱い手がセルマの手からするりと抜けだし、妖しくシャツの裾から入り込んできた。セルマは突然のことに驚いたが、すぐに身じろぎをして男の手が侵入してくるのを阻もうとしたがすでに遅かった。
身体を捩って男の手をはずそうとしたが思ったよりがっしりと掴まれていて外せない。直に触れられた手のひらが熱くて、しかもそれが不快と反対側の感覚で力が抜けていく。
「どうして抗わない?」
「抗って……るわ」

