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全てが終わったとき、俺は変わらず君に恋をしているだろうか
第1章 藍は香る

 シラハ達は森の奥にまで進み断崖の真下までやってきていた。

 目測にしておよそ高さ30m地点の岩肌に、その花は生えていた。

 薄紫の花びらを風に揺らし、よもすれば今にも散ってしまいそうに見える。

「なんだ、もっと高い地点にあるのかと思ってた」

 シラハは半ば呆れながらその花を見上げていた。

 これぐらいの高さであれば、近距離火力職の者なら登れて当たり前の高さである。こんなものも登れないのかと、シラハは後ろに控えていた白いケープマントをまとう女を横目で見やる。

「なぁお前……あー、そういや名前も聞いてなかったな」

「……ラズリアと申します」

「そう。なあラズリア、あんた冒険者なのは間違いないよな。一体なんの職業(クラス)なんだ」

 何しろ外見では判別のしようもない。チャクラムを扱っていた当たり、魔導師の類ではないのは間違いないが。

「私は……シャドウダンサー、という職業で……」

 シャドウダンサー。それはここより遥か西方にある秘境に住む少数民族特有の職だったと、シラハは記憶している。外界との接触を断ち、魔なるものたちを呪詛と踊りで封じ続けているという、謎に包まれた民。

 このラズリアという女は、その秘境から単身中央大陸へやってきたらしい。

 しかしこれだけの情報ではどういった職なのかさっぱりわからない。

「思ったんだが、あんたのそのチャクラムであの花の根っこを切ればそれで済む話じゃないか?」

「そんな、下手に投げつけて花を散らせたら元も子もありません……」

 それもそうか、とシラハもそれ以上は何も言わなかった。問答している間も惜しくなってきた頃だ。さっさと花を摘んで、ヤミーラの待つ酒場に戻ろう。そうすれば半日は休める上に、秘蔵の酒が手に入る。
 
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