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激情パラドックス
第4章 別離の理由
「だから私……、その職場の優しい人とデートするようになった。他にも紹介された人とも……。お見合いパーティーにだって行った」
こりゃまぁ、随分なことで。
「で……、なんでそれを俺に黙ってたんだよ……?」
「どうせ大和に言ったって適当にしか聞いてもらえないと思ったからよっ……!それに全部、ここ最近のことよ……」
「……なるほど」
言葉を失った。大学時代の仲間から聞くまで、俺は確かに疑いもしていなかった。さくらはきっとそれなりにサインを出していたんだろうが、ダラダラと生きている俺には危機感がなさ過ぎたってわけだ。

「……今、3人と同時進行で関係を持ってるの」
「へぇ……。そりゃ、すげぇな」
「みんな私と結婚したいって言ってくれてる。すごく好きになってくれてる」
「良かったじゃん、モテ期だな」
「ほらっ!そういう風に……、やっぱり大和は私のことなんとも思ってないんだ……っ……!私が一番好きなのは大和なのに……っ!」

なんだよそれ。
「いや、今言われてもさ、、浮気した女だからなんとも思ってないだけだけど?」
「じゃあ……浮気する前だったらちゃんと引き留めてくれた……?」
「うーん……、そう言われると……」
うっ……、めんどくせぇ。さくらのことは普通に好きだった。それなりに愛情を示してきていたつもりだった。けど今の美弥への感情みたいに、激しく燃え上がるものは……、もう6年も付き合ってきていれば当然だろうが、そんなになかったのも事実だ。さくらと恋人であることは当たり前のことになり過ぎていた。

「大和は……セックスばっかり」
「……え?」
「会えばエッチばっかりで、結婚のことなんか全然考えてないんだな、って……」
あーー……そっか、それがまずかったのか?
「でもね、3人とするようになったら、……大和みたいに良くなくって……」
「え……?エッチが?」
「そう。だから私はやっぱり大和が一番いいんだな、って……他の人とするたび、物足りなくて、大和のセックスを思い出して……、どうしたらいいのか悩んでて……会えなかったの……!」
は、はぁ……。これ、どう受け止めたらいい展開なんだろうか。俺のセックスを褒められてるな、これは。でもこいつ他に3人の男と寝たわけで……。
「大和は……私と結婚する気、ないよね?」
「うん。ないな。こんな浮気女」
さくらは頷きながら涙をこぼす。
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