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花咲く夜に
第8章 旅立
『……ぶはっ!(笑)』
貴斗が吹き出した。
『な、何よっ人の顔を見て笑わないでよ』
『だって、喚いてる女がいてまさかと思ったらめぐるだったんだもん。
すげー鼻水だし』
貴斗はTシャツの裾でめぐるの鼻水を拭いた。
『……ダメじゃないの?……』
『ん?何が?』
『………こ、子供……』
貴斗は再びぎゅうっとめぐるを抱き締めた。
強く。
『本音言っていい?』
『うん』
『………正直、すげー不安。怖い。
こんな男が父親になれるのかなって。
堅い仕事に就いてるわけでもないし、昔…色々いろいろあったし』
『………うん…』
貴斗はめぐるの肩を押し戻し、じっと見つめる。
『……でも、
怖いからこそ向き合っていきたい。
ちゃんと、めぐるを守る。子供も……
だから、大丈夫。
1人じゃなくて2人だから乗り越えていこうよ』
貴斗はそう言うと、
持っていたリュックからごそごそと箱を取り出した。
『ホントは来月10日に渡すつもりだったけど。
左手、貸して』
めぐるは左手を差し出す。
ひんやりした指輪が入っていく。
『……めぐる。……世界でいちばん大事だ。
好きだ。
愛してる。
俺と一緒になって』
『………はい………』
貴斗はめぐるの顎を持ち、唇に唇を落とした。
チュッと音がした。
めぐるは貴斗の頬をぐにっとつねる。
『ひ(い)たたた!
………どうした(笑)』
『夢かと思って……』
『夢なんかじゃなーい!ちゃんと、ここにいるよ』
貴斗はもう一度めぐるを抱き締めた。
夢かと思った。
死にたいと願って、ここに来たのに。
神様がいるとしたら、
きっとものすごく回りくどいことをしたがるんだろうな………
何かを学ばせるために。
意地悪な善意だな。
貴斗が吹き出した。
『な、何よっ人の顔を見て笑わないでよ』
『だって、喚いてる女がいてまさかと思ったらめぐるだったんだもん。
すげー鼻水だし』
貴斗はTシャツの裾でめぐるの鼻水を拭いた。
『……ダメじゃないの?……』
『ん?何が?』
『………こ、子供……』
貴斗は再びぎゅうっとめぐるを抱き締めた。
強く。
『本音言っていい?』
『うん』
『………正直、すげー不安。怖い。
こんな男が父親になれるのかなって。
堅い仕事に就いてるわけでもないし、昔…色々いろいろあったし』
『………うん…』
貴斗はめぐるの肩を押し戻し、じっと見つめる。
『……でも、
怖いからこそ向き合っていきたい。
ちゃんと、めぐるを守る。子供も……
だから、大丈夫。
1人じゃなくて2人だから乗り越えていこうよ』
貴斗はそう言うと、
持っていたリュックからごそごそと箱を取り出した。
『ホントは来月10日に渡すつもりだったけど。
左手、貸して』
めぐるは左手を差し出す。
ひんやりした指輪が入っていく。
『……めぐる。……世界でいちばん大事だ。
好きだ。
愛してる。
俺と一緒になって』
『………はい………』
貴斗はめぐるの顎を持ち、唇に唇を落とした。
チュッと音がした。
めぐるは貴斗の頬をぐにっとつねる。
『ひ(い)たたた!
………どうした(笑)』
『夢かと思って……』
『夢なんかじゃなーい!ちゃんと、ここにいるよ』
貴斗はもう一度めぐるを抱き締めた。
夢かと思った。
死にたいと願って、ここに来たのに。
神様がいるとしたら、
きっとものすごく回りくどいことをしたがるんだろうな………
何かを学ばせるために。
意地悪な善意だな。