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花咲く夜に
第4章 衝撃
そんな相手のことを、
短期間で忘れられはしないだろう………


複雑な気持ちを抱えて、
貴斗はめぐると日々を過ごしている。


(俺は、
あなたを本当に好きなんだけどな………)


表現下手だしね、
俺。


自嘲気味に考えていると、
めぐるの手が伸びて何かを探すように動いている。


(な、何だ?スマホ探してんのか?)

貴斗は思わず自分の手を差し出した。

めぐるはウニャウニャと言葉にならないような寝言を言い、
貴斗の手を握ってくる。

安心したように、
めぐるは寝たままで笑った。

『……んふふふ………』

気味の悪い笑い声まで出している。


(やっぱり変な女……)

貴斗は呆れた。
が、
顔が綻んでしまう。
面白いヤツ……。

『てか………手ぇ握られたら動けんやんけ………』


仕方なく、
胡座をかいて座って手を握ったままで居た………


―――――――――
『あ。』
めぐるが目を覚ましたら、目の前に貴斗の寝顔があった。


『………あれ?……』
良い匂いもする。


布団から上半身を出して見ると、
部屋中央部に置いてあるテーブルの上に丼鉢が見えた。

掛け時計を見ると11時…………

(夜中だよね?)

……貴斗はすぅすぅ寝息を立てていた。

(……………
女がいるのかぁ………)


ならば何故、
自分を好きだと拓海に告げたんだろう。

ならば何故、
実家に……しかも祖母までいる家に自分を置いているんだろう。
近所の人も、
「嫁じゃろ?」などと話し掛けてきたこともある。
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