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花咲く夜に
第4章 衝撃
(分からないよ……)

寝息を立てて眠っている貴斗の表情は、
健やかであどけない。。


(ヒゲ、
伸びてるなぁ……)
わりと濃いんだなぁ。

あ、
顎のラインにホクロがある。

『ん?』

手が重いと思ったら、
貴斗の手が繋がれていた。

(………何を信じていいのか分からなくなってきたわ)

だけど、と思う。


だけど……
私がこの人を「愛しい」と感じる気持ちだけは、
疑いようのない本物だ。


どうしたって、
心底愛しい。


めぐるは貴斗に身体を寄せて、
近づいた。
めぐるの心情を表すかの如く、涙が溢れた。





―――――――――――
『……ん?…』

『あ、起きた…』

『あれ、寝ちゃってたか………。
1時か………夜中、だよな………』

ふぁ〜と欠伸をして布団から身体を起こす貴斗。


めぐるはテーブルの座椅子に凭れて、
小さい灯りだけ点けて本を読んでいる。


『めぐる、大丈夫なのか?』

『…あ。う、うん。
大丈夫。良くなった。
………ありがとね、素うどんと擦りリンゴ。』


『………熱は無さそうだね。鼻声でもないし。
疲れかな』

よっ、とめぐるの隣に座った。
めぐるは身体が強張る。

薄暗い部屋の中。
貴斗の顔が近づいてはっきり見えた。。
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