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花咲く夜に
第5章 交錯
竹中の飼い猫は、
コロンと転がり白い腹を見せる。
「ンニャア」
『はいはい……』
左手で撫でてやる。
ゴロゴロと喉を鳴らして、幸せそうな表情をした。
暢気な猫の姿に『………良いねキミは』
呟くと、
白黒猫は『ンア』
と短く鳴いて立ち上がり、フンッと鼻を鳴らして貴斗を見つめてから背中を向けて走って行ってしまった。
「そうでもないわよ?」
とでも言う様に。
『そうですか……』
貴斗は猫が走り去る姿を見て、
(めぐるみたい)
とふと思って吹き出した。
(怒ってる理由は分からないけど)
立ち上がって尻の土を払う。
(元気で、傍に居てくれるならそれでいい)
タバコを溝の水溜まりに押して消した。
貴斗はすっかり<めぐるは怒ってる>と思い込んでいた………
―――――夜。
コンコンと自室をノックする音に、
めぐるは『はい』
と返事をする。
『入るよ』
言いながら貴斗はめぐるの部屋に顔を出した。
『いきなりで悪いんだけど……俺、優の代わりに郵便局のバイト増やすことになったから』
『あっ………
分かりました』
事務的な返答を、
未だめぐるは崩せない。
『私はどうすれば……?』
『仕事の予定表、
作成したから。
この通りに進めて。
分かんないことがあったら都度訊いてくれ』
はい、
と用紙をめぐるに手渡した。
コロンと転がり白い腹を見せる。
「ンニャア」
『はいはい……』
左手で撫でてやる。
ゴロゴロと喉を鳴らして、幸せそうな表情をした。
暢気な猫の姿に『………良いねキミは』
呟くと、
白黒猫は『ンア』
と短く鳴いて立ち上がり、フンッと鼻を鳴らして貴斗を見つめてから背中を向けて走って行ってしまった。
「そうでもないわよ?」
とでも言う様に。
『そうですか……』
貴斗は猫が走り去る姿を見て、
(めぐるみたい)
とふと思って吹き出した。
(怒ってる理由は分からないけど)
立ち上がって尻の土を払う。
(元気で、傍に居てくれるならそれでいい)
タバコを溝の水溜まりに押して消した。
貴斗はすっかり<めぐるは怒ってる>と思い込んでいた………
―――――夜。
コンコンと自室をノックする音に、
めぐるは『はい』
と返事をする。
『入るよ』
言いながら貴斗はめぐるの部屋に顔を出した。
『いきなりで悪いんだけど……俺、優の代わりに郵便局のバイト増やすことになったから』
『あっ………
分かりました』
事務的な返答を、
未だめぐるは崩せない。
『私はどうすれば……?』
『仕事の予定表、
作成したから。
この通りに進めて。
分かんないことがあったら都度訊いてくれ』
はい、
と用紙をめぐるに手渡した。