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花咲く夜に
第5章 交錯
『………分かりました。』

『……なぁ。
何で怒ってるの?』

貴斗はしゃがみ、
座椅子に座っているめぐるに向かい合う。


『え?』


『何かずっと怒ってるだろ?』


(怒っている訳ではないのだけど………)

『……怒ってません』
めぐるは目を逸らしてそう呟く。

『怒ってるよ。
何で敬語なんだよ』

貴斗は目を逸らされてムッとした。
詰問口調になる。

めぐるは黙ってそっぽを向いたまま。


貴斗はカチンときた。
めぐるの肩を掴んで、
顔を自分のほうに向けた。
―――心底怯えたような表情のめぐるを見て、
貴斗は驚く。

『………どうしたんだ…………』

今までは、<怯えたような表情>をしても感じが違った。
めぐるの瞳には、
警戒と怯えが強く滲み……貴斗には<拒絶>に映った。

手を離して、
『じゃ、予定表通りに』
と言い部屋を出る。


めぐるは優から聞いた話に動揺をしていて、
自分でも感情の整頓が未だ出来ていない状態だった。

(違う、怒ってるわけじゃないの……
ただ、どうしていいか分からないのよ)


そう言いたいのに、
貴斗本人から聞いた話ではないから………
確信も持てずに声には出来ない。


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