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魂喰い姫〜コンクイヒメ〜
第3章 取り戻し姫
______その晩、
家来たちに胸囲と腰周り、背丈を採寸された。



ばあやは心臓がトクンと鳴った。



男たちにサイズを測られ、
ドレスを作ってくれるという。

仕えて50年、こんな事は初めてだった。



家来は必死に端布(はぎれ)を集め、
家来の更に下に在る女中を呼び裁縫させる。






ばあやはなかなか寝つけない。


深夜に私のためにドレスが作られていると思うと、
年甲斐もなく気が逸る。






______朝、
疲弊しきった様子の家来と女中から手渡されたドレスは、

落ち着いたクリーム色で裾にボリュームがある美しいものだった。




『まぁ、素敵!!
ばあや、早く早く!!着て見せてよ』
姫様は我が事のように頬を上気させた。


袖を通すと、
ツルリと滑る生地に驚いた。


『シルクという新しい生地だそうよ。
ばあや、よく仕えているから褒美だわ』妃が満足げに微笑む。


『………………ありがとうございます』

ばあやは目をパチパチさせた。

戸惑いのあと、喜びが湧く。


(こんな一張羅に袖を通せるとは…………!)


しかしばあやは自分を戒めた。
(姫様と王子を見ておかねばな。
それが私の仕事なのじゃ…………………)



それにしても、
ドレスの着心地の良いこと!


軽く動きやすい。


クルクル回りたい気分だ。



『すてき、すてき!
ばあや、パーティーで誰か殿方に見初められたりしてね(笑)』
姫様がはしゃぎからかう。


ばあやは失笑した。
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