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人妻温泉
第4章 その4
『だ、旦那さんは優しい方かな?』


『はい、とっても。
私のために義母を売ってくれましたし』

『う、売る?どこに?どうやって?!』

『旦那は商社勤めですから、東南アジアですよ。
人身売買に伝(つて)があるんです。アジア支店で知人に頼みましたの』


俺は少しも笑顔を崩さずそう話す彼女が怖くなってきた。

『え、それは冗談だよねぇハハハ…』


鮎美は目をキョトンとさせて『え?
何故ですか?』
『え、本当に?本当の話………?』
背中に冷や汗が流れる。


『?……はい。
義母は東南アジア……タイのアユタヤ経由でサムイ島へ流れてからその先は分かり兼ねますが』

……………。

『義母さんはおいくつ?』

『さあ、幾つでしたかしら?彼と交際中、「2人きりになりたいからお義母さまとは一緒に住めないの」
と伝えたらそう処理してくれたらしくて』


本当なのだろうか………………

『社長。
夕食前にそろそろお背中流しましょうか』ニコニコ笑って促す。

冗談だよなぁ、俺ってバカだから真に受けるんだよ。
『そ、そうだね!さっぱりしたいものだな』

風呂に入ってゆっくりしよう。
『なぁ、立川く…』
振り返ろうとすると、
鮎美が頭を押さえて床に膝を着いていた。


『だ、大丈夫かっ』
『目眩が…………』
『ちょっと待っていて』
俺は鮎美をソファーに寝かせて、
内線電話でフロントにTELしてゆりを呼んで貰った。

直ぐ部屋にゆりがきた。
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