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人妻温泉
第4章 その4
『あっ、それか!』

『何かありましたの?!』
『いえ、先ほど2人で読書をしていると彼女が「義母は旦那が人身売買で外国に売ってくれた」
と笑っていたんです。
それで、おかしいなと感じまして』


『あら……
立川がそんな話を………

……辛い記憶というのは繰り返し傷を抉るでしょう?
だから「自分の都合の良いように塗り替えないと、生きていけない」場合があるのです。
つまり立川が田川さまに話した内容は…
彼女の「こうだったら良かったのに」という願望なのです。

仕事中にお客様に話すなど、プロ失格ですけどね………
今まで一切なかったのに。

私は彼女を実のお母様から預かりまして、
主治医から全て事情を聞きましたの』


『そんなに酷い経験があったなんて。
あっ!俺は彼女を傷つけたかも』

『何か?』


『いえ、実は少し激しいプレイをしました………
彼女は傷ついたんじゃないかな』


ゆりは笑い、
『それは大丈夫ですわ。
性的なことは全て彼女にとって治療になるんです。
少しくらい叩いても縛っても大丈夫ですのよ。〔癒し〕と〔歓び〕が特効薬ですの。

激しい性的行為が傷になるならば、
ここではおりませんから………』


『そうなのか……
良かった〜〜〜………
傷を増やしたのかと焦りましたよ』


『―――田川さま。
誠に申し訳ありませんでした』ゆりは改めて頭を下げた。
『私の判断ミスですね。
直ぐにチェンジを致します』

『あ、あの〜〜〜…
彼女、旦那さんとは…?』

『………旦那側が絶対に離婚届に判を押さないのです。
ですので事実上は離縁していても法律的に立川はいまだに縛られております。
それもあり、ここで働き始めましたのよ…』
ゆりはワナワナと唇を震わせて涙を溜めた。


『……すみません。失礼ばかりしてしまって。
私、女性を暴力で支配する行為が絶対に許せなくて。力では、圧倒的に女性のが不利なのです。
ですからここを作りましたのよ』


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