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第4章 その4

―――佐田綾加は、また食事に誘ってきた。


田川晴敏（38）は、飛び上がらんばかりに会社のPCの前で喜んでいる。


1度きりかと思っていた。
「また」と言うのも社交辞令と受け取っていたのだ。

まさか、まさかの2回目である。
早速返信をした。
評判の蕎麦屋に行きたいと返信があり、また金曜の夕方が良いと言う。

金曜の夕方は仕事が入っていた。

後ろを通った畠山を掴まえる。
「畠山、ものは相談だ。
金曜のSNビルのメンテ見回りやってみないか？」
「え、あそこは先輩担当じゃないすか」
畠山は露骨に嫌そうな表情をした。
俺は「イヤ。
お前も経験値を上げたら早く出世できる！見回りだけだしやってみないかな」
畠山は「先輩。
自分の持ち場は自分で責任持てって何時も言ってるじゃないですか。」
「いーや、
何事も経験だ」


俺は半ば強制的に畠山に任せた。
畠山は『何で俺が…』とブツブツ一人言を言っているが、敢えてスルー。


かくて金曜の夕方、
佐田綾加と待ち合わせの約束ができた。
綾加からは＜では、金曜の7時に。楽しみにしてますね。失礼します＞
と返信があった。