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人妻温泉
第4章 その4
駅のロータリーにて綾加を待つ。

夜6時45分。

綾加が『行きたい』と言っていた蕎麦屋は、
この県庁所在地市の駅近くにあった。


家路へ急ぐ人の並みの中、佐田綾加は小走りにやってきた。
『すみません、お待たせしちゃって』着替えてきたのか、ピタッとしたデニムにニット、上からクリーム色のジャケットを羽織り首に淡いピンクのストールを巻いている。

『いえ、今来たところですから……では食べに行きましょう』


並んで歩くとカップルのようで心が弾んだ。

佐田綾加は不動産会社で事務をしている。
『お仕事どうですか?』と訊いてみた。

『今の時期は忙しくはないですねぇ。
やはり2月3月が、引っ越しや新規の物件探しが多かったから少しずつ落ち着いてきましたよ。田川さんは?』

『通常通りですね。
真田【サナダ】学園の警備メンテも入りましたから、
少し幅広い顧客層にはなりました』俺は少し見栄を張りたくて、
自社が今年から契約した地元のお嬢様学園で有名な私立のエスカレーター式の学校の名を出した。


『学校の警備は怖そうです(笑)』

『あ、幽霊とか?』
『そう。怖がりなんですよ〜』

話しているうち、
蕎麦屋『へいはち』に着く。
金曜の夜ということもあり、混雑している。
待ち合い表に名前を書いて長椅子に腰かけて待つことになった。


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