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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第6章 禁断の恋
「……おのれ八反田のやつ、お前もくっちゃべっておったものを……!」
「八反田さんは大前さん達とコミュニケーションしてただけなんだよ……もう行こう。また怒られちゃうよ」
「ちょ!みゆり!……いいの?八反田、ブリリアントピンキーズにとられちゃうよ?」
「今はいいの!仕方ないの!」
「……あんたって意外とタフガイよねぇ……」
そうだよ、悔しがる暇があったら働け、私。
こんなところでただ泣いてるだけじゃだめなの。
八反田さんは、私が倒れることは怒ったりしてないって、そう伝えてくれたの。
だったら私がdolceでやるべきことはただ一つ。
――誰よりも早く仕事を覚えて、認めて貰うこと。
それから数日は、八反田さんとdolceで挨拶したりすれ違うだけだったけれど、早く仕事を完璧に覚えたかった私は、そんなことは頭の片隅からも一旦排除して、黙々と給仕をこなしていた。
もちろん八反田さんの背中を見れば恋しくなったし、仕事の流れで一歩事務室に立ち入れば八反田さんがパソコンを打っている横顔をついつい目の端にとらえてしまっている自分もいた。
でもそこで焦がれるように恋にかまけてしまえば、元々何をするにも人並み以下の私は大変なミスを犯しかねない。
お客様から正統なクレームが入れば、それは私のミスであり八反田さんのミスになるのだ。
私のせいで八反田さんが謝ることになる。
八反田さんの評価が1つ下がる。
そんなのは絶対に嫌だと思ったし、それでは大前さんみたいにはなれない。
だってこれは、まだまだ序の口に過ぎないんだから。
だって……。
「ほえー、にしても連日盛況だねぇdolce……」
「みゆり!大丈夫?辛いならちょっと休めば?」
「うぅん、休憩時間まで頑張るよ。皆そうやって仕事してるんだもん」
ふと足を止めてしまった私を気遣ってくれたるかちゃんは、無理すんなよ!と声をかけてくれてから、大量のドリンクをトレンチに乗せてお客様の元へと向かった。
そこで、流川るかとしての儚い微笑を浮かべ、健気な美少女として振る舞う。
最近ではそんなるかちゃんの優美な振る舞いがファンの心を癒やしているのか、ファンのるかちゃんへの評価はぐんぐん伸びているらしい。
元々綺麗だし才能のある子だから、他のメンバーより秀でて当然だよ。
るかちゃん本人より、なぜが私がふんぞり返る。