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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第2章 原因は黒いパーカーでした
「はぁ……」
「みゆり!そのイカ臭いパーカーが欲しい乙女心をわからない八反田なんて、やっぱり好きになることなんかないって‼︎」
落ち込む私を励まそうと、るかちゃんは八反田さんの悪口を言ってくれる。
るかちゃんはとっても優しい。
だってまだ、私、八反田さんのこと好きって言ってないはずなのに、もう気が付いてくれているんだもの。
本当は、きっと当人の私より先に気が付いていたのかも。
だから言ってくれるのよね。
「いいから、八反田はやめとけ」
るかちゃんは、黒いパーカーをスタッフルームのゴミ箱に投げ捨てた。
本当なら、そうするのが1番だったのかもしれない。
でも……。
「だめっ!やだっ!るかちゃんヒドイよ!何てことするの!?」
「みゆり、いいからやめときな!こんなの、私が売れた暁にいくらでも買ってあげるから!」
「そうじゃない……。そうじゃないんだよぉ……」
たまらず涙が出た。
分かってるのに止まらない気持ち。
いっそ本当に捨ててしまえたらいいのに。
突然現れたそれが、今は命のように大事に思えて仕方ない。
「な、泣かないでよみゆり……よしよし。ごめんね、ちょっとやり過ぎたよ……」
「ぶぇぇぇ!私の方こそごべんねぇ〜!るかちゃんは私を心配してぐれだのにぃ〜!」
泣きながら、るかちゃんに謝った。
るかちゃんも大事なのに、その大事な人の言葉も届かないところに、心はぐんと引き寄せられてしまったんだ。
「でも、悪いことは言わない。今、引き返せるなら、本当に戻ってこい、みゆり」
るかちゃんは私の肩をガクガクと揺すった。
私は……私は……。