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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第8章 躰の疼き……

「それってもう殆ど落ちてるんじゃん?」

黒咲くんは嬉しいことを言ってくれる。

「でも無理矢理したから、もう近寄るなって言われたよ」

「建前でしょ。他になんか言ってなかった?」

「え?あ……うん、オナ……禁止令だされた……」

「なるほど。じゃ、大丈夫」

「え?」

「ちゃんとその二つの約束守ってあげて。そしたらもう向こう側が音を上げるよ」

オレが口火を切ってあげる。
窓の外を眺めた黒咲くんは、まるで見透かしたように言った。
そして、案外に早く着いたね、と私への微笑みを絶やさない。
はたと気付けば車はdolceの目の前に停車していた。
元々一軒家だった建物を改装して作られているdolceの外観は白いテラス風で、お城の一画を切り取ったみたいに精悍で可愛く、連続した大きな出窓やバルコニーからは、温かみのあるウッド調の内装が伺える。
そこからレジでお会計を頂いている八反田さんが拝見できた。
この時間、スタッフの女の子は出入り口でお見送りをするのだ。
その時、目当てのアイドルと二言、三言会話をして握手を交わすのが当たり前の光景になってきた。
八反田さんは、スタッフが悪戯されないように監視する役目も担っている。
あのジャックナイフに睨まれながら悪さを考えるファンなんて居るわけないだろうけどね。

「これって、予約しないと入れないの?」

「そうだね……。今のところ抽選予約か、一ヶ月前かそれ以上の指定予約だね」

「当日の空きはどうしてるの?」

「キャンセル待ちがあるから、それも抽選。で、突破した人にだけ当選メールかなぁ」

「スタッフの招待制とかないの?」

「もしかしてそれって、なんとかしろって言ってる?」

「もちろん。相談料とらないだけ有難く思ってよ」

「とろうと思ってたの?」

「世の中金だよ、金」
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