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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第8章 躰の疼き……
「そんな関係じゃ、ないですよぉ……」
とは言うものの、黒咲くんは逆に極上の笑顔を見せるから何をしたいんだかさっぱり分からない。
「みゆりちゃん、学校の制服姿も可愛いけど、dólceの制服も可愛いね。似合ってるよ」
教室じゃそんなこと一言も喋らないくせに‼︎
「……それで、何をご注文なさいますか?」
八反田さんの態度が明らかにご機嫌ナナメになった。
姿勢を崩しギャルソンの足を投げ出して、上から圧力をかけるように黒咲くんを見下ろしている。
テーブルについたままの美少年も負けじと彼に対抗意識満々だ。
2人の笑顔が怖い。
「八反田さんはご結婚なさってるんですね。薬指の指輪、意外ですよ。貴方のような昭和の古臭い性格とその顔で……」
「悟り世代だかなんだか分からないがオトナ気取りのガキよりは責任持って生きているつもりだが?」
「奥さんも大変でしょうね。普通、貴方のような仕事人間のつまらない我儘なんて聞いてられないと思いますよ。浮気されないように気をつけて下さいね」
「心配ご無用だ。俺は週末になれば家庭的なイクメンに早変わりだ。親孝行のおの字も考えたことのないような子供に説教される用なことは、何もない」
……もしかしなくてもこの2人、相性合わない……!
これ以上は私の心がはち切れてしまいそう。
私はとうとう、
「あのご注文は……?」
言い争いはやめるように2人の視界を遮った。
八反田さんも大人なんだから……。
アイコンタクトで振り向いても、珍しくプライドを剥き出しの彼。
意外な一面に呆れてしまうと、何故だか仕方ないという母性本能みたいな感情も同時に沸いた。
「いや、今日のところはもう帰るよ。みゆりちゃんのdólce姿も見れたし、時間外の入店は、邪魔、だろうからさ」
「折角テーブルを用意したんだ。まだまだ、ゆっくり、楽しんで行って下さい」
八反田さんと黒咲くんは、どちらかが死ぬまで殺し合うタイプな気がする。
私は八反田さんが私の為に闘ってくれるだけで気絶物だけど。
そんな下らない妄想に突入するより前に、黒咲くんは悠々と席を立った。
出されたお茶を静々飲んでいた参千寺さんも、黙ってそれに付き従う。
「良くして頂いて、ありがとうございます。オレの恩師にもそう伝えておきますから」