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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第8章 躰の疼き……
「はぁ……。つまり俺は……友情の仲違いに巻き込まれたってそういう訳だよな……」

八反田さんは一種の格闘家みたいにその場で跳ねたりぐるぐると細かく周囲を行ったり来たりしたあと、

「職場で恥を晒した罰だぞ俺!!」

とうとう意を決したように自分で自分のおでこを思い切り壁に打ち付けた。

ドゴッという鈍い音が痛ましい……。

「さあ二人とも次の回が始まりますから、早く用意しなさい」

「あの……八反田さん大丈夫ですか!?」

おでこから湯気をあげながらの満面の笑みにあわあわした私だけれど、八反田さんは何事もなかったかのようにパソコンを揺さぶり起こして、普通に仕事を始めた。
私が、あのぅ……と再度尋ねてみると、彼はもう2週間近く振り向かなかった視線をこちらに投げかけて、こう言ってくれた。

「大前は、俺と同じで黒咲に一杯食わされたようだからきちんと説明してやりなさい」

「わ、笑ってますけど八反田さん、その前におでこから血が……」

「ん?ああ……これか?俺は気にするな。平気だから。いつも大失態やらかした時にやるんだ。儀式みたいなもんでな。気が引き締まるんだよ」

「儀式……気の引き締め……」

その言葉に、ぶっと噴き出すと、彼は照れ臭そうに笑った。

「バカだなって思っただろ?俺は、お前が思ってるより何百倍もバカなんだ。その上イケメンでもない。美化して見てるなら、早く目を覚ましなさい」

やっぱり笑った顔はとても素敵なんだもんね。
狡いですよ。

「私はそういうところも好きですから……」

私がすかさず救急箱から大きめの絆創膏を取り出して八反田さんのおでこに貼り付ければ。

「……すまん……ありがとうな……」

はにかんだように赤くなって笑う。
毎日この純白のスマイルを拝めるなら、もうずっと、このままの関係でもいいとさえ感じるの。

「ねぇ、ちょっと何なの!?私を無視してイチャイチャしないでよ!私はあんたとの話まだ終わってな……!」

嬉しくて、一悶着あって、2人に怒られていたことをすっかり忘れてしまった。
でもだって、私は何も悪くないんだけど。
とりあえず八反田さんへの誤解が解けて良かったって……。
その上このまま一生口聞いてくれなかったら死んじゃうとこだった。
あとは彼女の誤解も解くだけ!
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