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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

「お時間とらせて申し訳ない。実は貴方の子飼いの銀髪が、うちの売り出し中の娘達に手を出して下さりやがりましてねぇ……ええ……早く見つけてあげたほうがいいですよ。今頃マスコミの餌食です。いや……とんでもない。お互い様ですよ。それと殴ったのは俺ですから。詳細は彼自身に聞いてみて下さい。それでは」
電話を切った八反田さんに、みんなが同じ気持ちだ。
「ポニーズの社長と、なんであんな親しくしてるの!?」
「ん?ああ、代がわりしてからちょっとした知り合いが多くてな」
「代がわり?」
「あの事務所、いつからかあの人の名前だけ席にあるようなもんなんだ。経営陣は、常々代わり続けてる。その中に顔見知りがいるんだよ。それだけだ」
そ、そうなんだ……。
八反田さんて芸能界に顔が広いのは知っていたけど、まさかそこまでとは考えていなかった。
その八反田さんはそれからスマホを私達円陣の中央に置いた。
掛かってきたら教えろ。俺は寝ると。
堂々と勝負をしかけ、時が来るのを待つ様は、常に勝ち戦を設ける軍師や宰相のそれのように見えた。
頼もしいとしか言いようがない。
「おやすみ」
そうしてあぐらを搔いたまま押し入れの襖を背にし寝付いた彼。
私もまだ気分が優れた訳ではない。
失礼しますを心で唱え、彼の肩に身を預けてみると、お互いを支えるような形になった。
「と、とりあえず、ぼ、ぼ、ぼくも寝る!起きたら八反田さんの指示であちこち走るだろうから!」
城田さんがそう言いながら私達に毛布を掛けてくれた。
「あっ!」
でも自分のベッドにるかちゃんが寝ているのを思い出したようで、彼は渋々畳に横になった。
一人大の字でベッドを占領するるかちゃん。
その隣に大前さんがのし上がる。
「じゃあ、私がここね」
「ううーん」
酔っぱらいのるかちゃんを、えぃ、と奥に転がす大前さんは本当に逞しい。
でも、電気を消した後、彼女が啜り泣く声が聞こえたから皆分からないふりをしていた。

