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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実
「あのね、るかちゃん……私ね」

私が気後れの態度を示すと、るかちゃんもこれ幸いとばかりに赤っ恥を消し飛ばすようなマシンガンを武器に喋り始めた。

「ごめんねみゆり!覗くつもりなんてこれっぽっちもなかったんだけど喉渇いたから水欲しくなっちゃってそれで……気付いたらみゆりが八反田のアレ、アレしてるし何コレって思ってたらなんかムズムズしてきちゃって……みゆり嬉しそうで可愛いなぁっとか、八反田なんて、ずっとエロい目しながらみゆり見てたしさ!あいつ卍きもいよ!」

いつもに10割増しで軽快な舌の彼女は、やっぱり八反田さんのことは相変わらず良くは思っていないようで、彼が耳にしたら傷付くだろう一言を振り下ろしていたけれど、彼女はそれでも私の味方で居てくれたのは確かだった。

「でも良かったね。思ってた以上に八反田と仲良さそうでさ。あいつも満更じゃないんじゃん」

「そ、そうかな!?やっぱり、そう思う!?私、勘違いじゃないかな!?」

るかちゃんの言葉についつい乗せられ、こんな時にも勢い付いてしまった。
珍しく私が声を荒げれば、るかちゃんは花が咲いたみたく笑った。

「あはは!八反田のことになると、みゆりは普段の100倍は可愛くなるね」

いつも可愛いけどさ!
私を心から誉めてくれるるかちゃんは、やっぱり私のオアシス。
大好きだなぁ、傍に居て欲しいなぁ、と心地良さを感じる。
だからこそ。
そんな妖精の純心を傷付けたknifeさんは絶対許せなかった。
るかちゃんがどんな想いで今この言葉を語るのか。

「私は失恋しちゃったからさぁ。みゆりには頑張って欲しいんだよね」

私には酷く痛みの伴う悲しみとしてしか聞き取れなかった。
昨夜、何故お酒を盛られたか。
そんなのは考えればすぐに判った。
おそらくるかちゃんは見てしまったのだ。
knifeさんがくるみちゃんと……怠惰を貪り合っているところ。
数十分、二人して見掛けなくなった時間があった。
るかちゃんはお手洗いに立ったと思う。
俄には信じがたいが、その口封じの為るかちゃんを酔わせたのだろう。
私はきっとオマケみたいなものだったはず。
けれど未成年と知っていたのだから、あのプラチナブロンドは本当に人でなしのろくでもないクズ男でしかない。
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