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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

「るかちゃん……」

「でも内緒にされてたのはショックだったかなぁ、やっぱ」

「ごめん……」

るかちゃんは遠く目を傾けて呟いた。
昨夜のくるみちゃんに向け吐き出されたそれは、嫉妬の形に歪んでいた。

「いいよ。みゆり、それだけ八反田のこと本気で好きなんだもんね。あいつ結婚してるし、バレたら大変だっしょ」

るかちゃんは何処か寂しそうに乾いた声で笑い、そして続けた。

「みゆり、可愛いもんね。ブリリアントピンクも。きっと2人、上手くいくよ」

伏せた睫毛が長く撓り、潤んだ茶色い瞳が泉に沈んだ宝石みたくたゆとう。
柘榴の実を一つ弾いたような唇は、物を語りたそうに半開きとなって彼女の小さい舌先をやんわり覗かせていた。
白い肌なんてもはや女神の纏う輝かしいヴェールだ。
すっかり眩くなった陽光を美の養分として吸収し尚いっそう煌めいていた。
メイクや人工で造られたものじゃない、どれも彼女が神の愛を一身に受け、持って生まれたものに、私はすっかり見惚れていた。

「るかちゃんも可愛いよ。そのへんの女の子達なんかより全然きれいで……。私なんかがるかちゃんの隣に居ていいのかなって感じるくらい」

「あははっ、なにそれ。それってまるで彼氏みたいなセリフじゃん」

美しい彼女が戯けてみせた。
ワンピースみたいに彼女の下腹部までを隠す城田さんの欧米サイズのシャツ。
そこから伸びる脚が艶めかしい。
私が彼氏だったなら、落ち込む彼女を間違いなく腕に抱きしめていたところだ。

「だって私、るかちゃんがほんとに大好きだから……ほんとにほんとにそう思うもん」

「ふふっ、みゆりは昔っから、根っこはイケメン女子なんだもん。参っちゃうよ。ありがと」

るかちゃんはきっと、もっともっと、綺麗になる。
もっと麗しく、華麗な女性になって、誰より輝いて、きっと望むもの全てを手に入れる。
その時が、その日が、きっとくるだろう。
私にはそう確信出来た。
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