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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

「それで大前の様子は?」
「ししし、暫く謹慎だって伝えたら悲しそうにしてたけど、海霧なんか大嫌いって叫んでたから、だだだ大丈夫だと思います」
「そうか……。こちらとしちゃ、早く別れてくれねぇかな、なんて思ってしまうがな……なんてな」
苦笑した八反田さんは、ハッとしたように私を見た。
そんな顔されても、私が口にできるはずはない。
八反田さんも早く奥さんと別れればいいのに、なんてこと。
「ま、これでお前達は社長からのお咎めなしだろ。明日からまた、いつも以上に頑張るように」
八反田さんはるかちゃんの頭も撫でた。
将来を救われてひっそり涙していたるかちゃんを気遣ってのことだろう。
私達はてんで子供扱いだ。
確かに子供だから仕方ないけれど。
この人が遠く離れたところにいる現実を突きつけられて辛くなる。
もっと近づきたいのに。
私はこの人に守られてばかりいる……。
❤︎
「ところで早坂さんはどうしたんですか?」
今回の事件でいの一番に飛んできそうな彼女が傍らにいなくて違和感があった。
私は一度事務所に戻って車を取ってきた八反田さんの隣に乗り込んだあとに、その疑問を晴らした。
なんでも、私の他に担当している女性お笑い芸人さんが突如ブレイクを始めたから、そちらのフォローに忙しいのだという。
私のことをいつも心配してくれる彼女が側に付いていてくれないと、なんだか少し不安になった。
「あの明るい笑顔でいつもみたいに抱き締めて欲しいのになぁ」
「は?」
今まで安全運転の鏡であったハンドルさばきに錆が入ったみたいな急停止だったから驚いた。
赤信号が八反田さんの車を突然停車させたのだ。
「わぁっ!びっくりした!」
「それは俺のセリフだ!お前早坂にそんなことされてたのか⁉︎」
「え?は、はい。早坂さんて元気だしとっても綺麗だから、見ていてこっちも気分がいいし、抱き締めて貰えるとなんだかパワー貰えるんですよねー!私もちょっとは綺麗になれたかなぁって」
私がそう力説すると、八反田さんはまた声を大にして罵った。
いや、罵るのとはまた別次元の爆弾発言を投下したというほうが正しい。

