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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

「それでもあいつは男だろ‼︎‼︎」

あーあ、それ早坂さんの前で言ったら怒られるやつ……。
といっても今は本人いないし、八反田さんは上司なのだから……別にいいのかなぁ?

「早坂さんは女の人ですよ。だって全然男の人に見えないし、ほんとに綺麗だもん」

私が口を尖らせると背後からクラクションを鳴らされた。
振り返ると軽トラックのおじさんの口も同じく尖っていた。
信号青になってる……。
慌ててアクセルを踏み込む八反田さん。
それでも彼はハンドルをしっかり握ったまま私に怒鳴り続けるから、こういう所がやっぱりメンバーに嫌われがちなんだ。

「お前はもう少し男に危機感というものを持て‼︎」

バサリと切り捨てられて目を瞑った。
八反田さんは私のことをとっくに見抜いていた。
エッチな目で見られようとも構わない、むしろそういう目で見て欲しいという心の根底にある願望。
私の性癖。
でもだからって早坂さんをそんな風に見たことなんて一度もないから、これはこれで納得しようもないのだけど。

「そんなこと言っても早坂さんは女の人ですよ!」

「外見の問題じゃない!付いてるもんが付いてる限り男なんだよ!」

「心は女の人ですよ!それ以上に乙女だもん!」

「それはそうかもしれんが!俺が言いたいのはお前の隙がありすぎるって話だ!脇がガラ空きなんだ!スッカスカだ!襲ってくれって言ってるようなもんだ!」

「そうですよ!襲って欲しいんです!今だってそう!八反田さんとエッチしたくてしたくてウズウズしてるんです!ずっとこうやってエッチなこと考えて生きてきたんです!そんなのもう自分じゃ気にしたこともないです!」

「じゃあ今から変えなさい!男には警戒しろ!早坂にも!俺にもだ!少しは素直に言うことを聞けよ!」

「なんで!?そんな風に拒むんですか!?それにそんなの理不尽ですよ!私の彼氏でもないのに!」

「だから……俺が言いたいのはそういうことじゃないんだよ……」

「私が言いたいのはそういうことです!」

再び路は赤信号になって私達の四輪は足を停めた。
エンジンの負荷が弱まり極端に静かになった空間。
目の前を、子犬を連れた若い男女が陸奥まじく通り過ぎていく。
私達の苛立ちはさらに募る。
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