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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

玄関先に向かい、外に逃げようと必死に藻搔いたが、いつも防犯用にかけているチェーンが邪魔をして1テンポ遅れた。
そのやにわに。
男に殴られた。
もはや容赦がなかった。
血の味が瞬く間に広がった。
スマホが宙で回って落下した。
私が転がっている横で、彼は私のパンプスを拾い上げにやける。
「すぅ……はぁ……」
匂いを嗅いで楽しんでいる。
私はその間になんとか這いつくばって逃げ出そうと試みた。
眼前の階段から二階を目指したのだ。
リビングの大窓から外に出ようとも巡らせたが、また鍵を開けるのにもたついている間に捕まえられて、今度こそThe Endでは済まされないと咄嗟に考え至った。
案の定、痛みに耐え階段を匍匐(ホフク)して登るわたしを彼は追って来なかった。
すぐに捕まえられるとでも見当しているのだろう。
私は自分の部屋に逃げ込み鍵をかけた。
それからバルコニーの窓を開けて外に立ち助けを求めて叫んだが、閑静な住宅街に並ぶ風間家に異変を感じてくれる周辺住民はいなかった。
梅雨時期とはいえ暑い日が続いていて、冷房を効かせているせいか何処かしかも窓を閉め切っている。
ここから飛び降りたら死んじゃうかな?
次に考えたのはそれだ。
でも足がすくんで諦めて隣室の父の部屋に移った。
換気の為に窓を開けていて良かったと安寧を得た。
鍵を掛けて閉じこもる。
如何ほどそうしていたか。
バルコニーに繋がる窓、磨りガラスの戸の向こうに人影が浮き上がった。
……ドン!
……ドン!
何度も拳で叩かれる。
恐らくアイツが追ってきたのだろう。
それなら、と、真反対へ逃げる。
部屋の扉の鍵を開き、廊下を突っ切ろうとしたのだ。
これで思惑通り。
このまま出れば助かる!
けれど、なんで?
どうして?
「おっと僕の愛しい愛しいみゆりちゃん……こんなところにいたの?」
眼前にあの巨体が待ち構えているの?
「ひっ!」
すぐさま踵を返す。
ガラクタを一つ、足に引っかけ転んだ。
父の一番大事にしている日本刀だ。
壊したら怒られる。
膝と手の平を擦り剥いたこんなときにも不安が過ぎる私は本当に馬鹿正直だ。
捻った脚を引き摺って、今現在も音を鳴らし続ける擦りガラス戸の施錠を……。
——解いた。
だって。
これが運命なら。
どうか、どうか………。
助けて下さい。
八反田さん……。
そのやにわに。
男に殴られた。
もはや容赦がなかった。
血の味が瞬く間に広がった。
スマホが宙で回って落下した。
私が転がっている横で、彼は私のパンプスを拾い上げにやける。
「すぅ……はぁ……」
匂いを嗅いで楽しんでいる。
私はその間になんとか這いつくばって逃げ出そうと試みた。
眼前の階段から二階を目指したのだ。
リビングの大窓から外に出ようとも巡らせたが、また鍵を開けるのにもたついている間に捕まえられて、今度こそThe Endでは済まされないと咄嗟に考え至った。
案の定、痛みに耐え階段を匍匐(ホフク)して登るわたしを彼は追って来なかった。
すぐに捕まえられるとでも見当しているのだろう。
私は自分の部屋に逃げ込み鍵をかけた。
それからバルコニーの窓を開けて外に立ち助けを求めて叫んだが、閑静な住宅街に並ぶ風間家に異変を感じてくれる周辺住民はいなかった。
梅雨時期とはいえ暑い日が続いていて、冷房を効かせているせいか何処かしかも窓を閉め切っている。
ここから飛び降りたら死んじゃうかな?
次に考えたのはそれだ。
でも足がすくんで諦めて隣室の父の部屋に移った。
換気の為に窓を開けていて良かったと安寧を得た。
鍵を掛けて閉じこもる。
如何ほどそうしていたか。
バルコニーに繋がる窓、磨りガラスの戸の向こうに人影が浮き上がった。
……ドン!
……ドン!
何度も拳で叩かれる。
恐らくアイツが追ってきたのだろう。
それなら、と、真反対へ逃げる。
部屋の扉の鍵を開き、廊下を突っ切ろうとしたのだ。
これで思惑通り。
このまま出れば助かる!
けれど、なんで?
どうして?
「おっと僕の愛しい愛しいみゆりちゃん……こんなところにいたの?」
眼前にあの巨体が待ち構えているの?
「ひっ!」
すぐさま踵を返す。
ガラクタを一つ、足に引っかけ転んだ。
父の一番大事にしている日本刀だ。
壊したら怒られる。
膝と手の平を擦り剥いたこんなときにも不安が過ぎる私は本当に馬鹿正直だ。
捻った脚を引き摺って、今現在も音を鳴らし続ける擦りガラス戸の施錠を……。
——解いた。
だって。
これが運命なら。
どうか、どうか………。
助けて下さい。
八反田さん……。

