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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実

「八反田二三助。は、は、は、八反田さんは、本来、八反田家の二三代目当主で……代々刀の先生としてその道じゃ有名なお家で……だ、だ、だから小さい頃から剣術を沢山習ってたって言ってたよ」
病院に連れて行かれ検査や処置を施されたあと、刑事さんに事情聴取を受ける合間、城田さんがずっとそばに付き添ってくれていた。
「でも、色々あって別の……親戚の誰かが代わりに跡を継いでるって聞いてたけど……本当に刀や剣道に関して達人の域なんだよ、八反田さんは!ぼぼ僕も大学生の頃、何度か助けられてるんだ」
嬉しそうに先輩の話を語って聴かせてくれる城田さんに、私は黙って頷くばかりだった。
彼を尊敬しているのだと表情だけでわかる。
「ぼ、僕と違って、なんでも出来るんだよ、あの人は!凄いんだ!」
私と同じでこの人も八反田さんが大好きで仕方ないのだろう。
事件が事件ということもあり、やがて女性の刑事さんがやってきてくれた。
犯人は見知った人だったか、とか、最近変わったことはあったか、とか。
私はそれらに対して全て答え、不審な電話記録があることに関して質問をされたときにだけ、ウソをついた。
「事務所からたまに仕事に関しての連絡が非通知であるんです」
だってそう言わないと。
調べられてしまったらおそらくダメだと咄嗟に考えた。
だってあの人は。
あの電話の向こうのあの人は……。
「そう……。周辺に聞き込みをしたところ、最近、見掛けない不信な金髪の若い男がうろついていたそうなの。少し様子を見てみましょう」
――金髪……それって、まさかお兄ちゃん!?
ハッとした私に、女性刑事さんは目を光らせた。
けれどそれ以上は何も尋ねられなかった。
そして捕まえた犯人について少しだけ詳しく教えてくれた。
「今日捕まえた男ね、他にも余罪があって。近くの女子高の前でも不審者が出てたんだけど、それ、黒みたい。他にもあなたの写真が自宅から山ほど出てきたし……みゆりちゃんて、昔、電車の中で被害に遭ったりしたの?」
私が静かに頷いたあとにノックがあって、彼女は面会人用の椅子から立ち上がった。
「あらあら、彼氏さん焦りすぎね」
彼女は職柄、私達の関係を全て把握しているはずなのに、そう言葉にしてくれて私を喜ばせてくれた。
優しくていい人だなって、とても安心した。

