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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実
背骨の温度が急下降しまたジンワリと熱く灯るのがわかる。
甘く噛まれ、息を吹き込まれ、身悶えると同時に舌先が私の耳孔にねっとりと挿ってきた。
粘着質の音が私の脳内を這い回る。

「んっぅん、……ふぁぁっ!……」

ぴちゃぴちゃと丁寧に唾液を塗りつけられては、じゅるると啜られる。
初めての体験でもそうされていると分かるほどに隈無く味見される。
責められる。
私は快感に身を委ねる他なくなる。

「あいつに触られたとこ全部、綺麗にしてやるからな……」

それは躰中のお掃除を、これからされてしまうということ?
確かにあいつに触れられてからずっと、消毒が必要なんだと感じていた。
でも……。

「それでもこんなこと、イケないことなんだよな……たくさんの人間を裏切ることに変わりない……。それでも俺は……」

――禁断の果実を誰か別のオトコにもぎ取られたくないんだ。

あの男に汚された箇所を探るように、八反田さんは私の全身を緩やかに確かめ始める。
彼の唇や指先以外にも擦り寄せられる腕や胸元が私に触れる度、そこから美しい魔法がきらきらと爆ぜて腐敗を治癒していく。
そんな不思議な気分になった。
私はそのあまりに魅力的な官能に身を委ねてしまいそうになる。

「んぅ……はぁぁ……」

「……少しだけ……ほんの少しだけ……だ。……触れて、確かめるくらい……」

私はどう答えるべきなのか。
返答をできずにいた。
本能に任せてしまえば私は解放されて楽になれる。
けれど八反田さんは?
大好きなひとを苦しめて、それで嬉しいなんてはずがない。

「八反田さん……。だめ……だめだよ……」

彼は看護用の質素な寝具の上に片膝を置いた。
軋む音。
グイと枕元に倒される。
横転し見える先には天井ではなく、八反田さんのサラついた髪の毛が望めるばかりで胸が沸き立った。

「そのまま動かなくていい。何も考えずにいなさい……。今日あったこと、全部、忘れさせてやるから」
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