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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第9章 それは禁断の果実
「お前、どうせそれだけじゃあ満足できないんだろ?これで遊んで来い」

「へぁ⁉︎」

「いいか、それは口止め料だからな。俺は別にいいが、この子はこれから先のこともあるからな……」

「そ、そ、そ、それなら!僕っ!こここんなお金なんて貰わなくてもだだだ黙ってますしお寿司っ……!」

「そうか。それならいいが。そもそもお前が股間をそんなに膨らませてるとマス掻きくらいじゃ収まらないのはもう知ってるんだよ。何年目の付き合いだと思ってるんだ」

「うへぁ!み、み、みゆりちゃんの前でそんなことバラさないで下さいー!」

城田さんが真っ赤になっておろおろしている。
でも、

「だけど、これでにゃおんちゃんとこに遊びに行けるし……」

等と呟いて、八反田さんのお財布を本人に返そうか返すまいか悩み込んでいる。
八反田さんはヤレヤレと言った。

「……あとは、まぁ、お前のお陰で暴走した理性が舞い戻ってきたし。その礼だ。素直に受け取っておけ。ありがとな」

「うぅ、八反田先輩!ぼぼぼ、僕がせめて可愛い男の子だったらいまお尻くらい差し出してるところです!」

「……いや……それはいいや……」

それきり椅子から立ちあがった八反田さんは、うわ、まじですげぇなこれ、と自分の服の裾を引っ張って笑っていた。
そして、窓ガラスに映った自分に気が付いて、こめかみに一筋作られた三つ編みを恥ずかしそうにほぐし始めた。
私はいつの間にか事が終わってしまったことに少し焦りを感じていた。
だって、私……最後まであると思っていたんだよ?
私はこれで八反田さんと晴れて結ばれると、そう思っていたのに……。

「ま、待って……八反田さん……最後まで……して……?」

ラックから降りた私は彼に抱きついていた。
けれど彼は私を黙って振り払う。

「言っただろ。消毒だけだって。忘れかけそうになったが……世間の反応は城田のそれ以上だ。……あとはもう……風間はきちんとアイドルに戻るだけなんだよ。俺も……」

八反田さんは切なげに、でも力強い眼差しで私を見ていた。

「今夜はなほこに相手して貰うさ」

それが、私の為についた嘘なのはなんとなくわかっていた。
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