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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
黒猫くんは私がその夫婦の顔見知り前提のように話し、纏めきった。
私は期待に応える他ない。
「でもじゃあそのお姉ちゃんは、二人の関係を今どう思っているのかな?」
「そこなんだけどさ」
私が仕方なしに突っ込んで聞いてやると、黒猫くんは待ってましたとばかりに指を鳴らした。
「もう姉は離婚して、今は誰にも縛られず自由気ままに暮らしてるっていうんだから、人間て奇っ怪な生き物だよね」
「人の置かれる状況なんてそんなものなのかもね」
私は深く考えることもせずそんな言葉をざっくりと繋げた。
だって、自分がどうなるかなんて、その時になってみなくちゃわからないもん。
「とりあえず、キミの目下の目標は……」
黒猫くんは突如居住まいを正して、お弁当箱をしまい始めた。
包みを綺麗に縛って、はいお終いとばかりにトートバッグに片付ける。
「慰め役に納まることなんじゃない?」
ベンチから立ち上がった彼の向こうに太陽光があって、眩しかった。
日食のようにそれが丁度重なって、むしろ暗くも感じられる。
表情がまるで見えない。
「夫婦なんて絶対的に喧嘩する仲なんだし。セックスレスって言ってたんでしょ?ならチャンスはそこら中に落ちてるだろうね。誘惑するのも手か……」
そうして、私がデザートに持ってきた兎型の林檎を一つもぎ取られた。
じゃりっと首がはじけ飛ぶ音がした時、彼を求める女生徒の声がして、彼はじゃあねと私に告げた。
「黒咲くん、先生が呼んでるよ」
「風間さんと何してたの?」
そんな声が聞こえたけれど、私は彼女等を振り返らなかった。
からかわれると知っていたからだ。
「あんな事件に合ったのに、もう男といちゃつけるとか信じらんない」
「案外自分でファンと繋がったんじゃないの?」
改めて、林檎を一口齧る。
あの事件以来、毎度のことだともう慣れてしまう。
「誘惑、しちゃおうかなぁ……やっぱり」
私の一言に彼女達は訝しんだ顔をしていたと思うけれど、黒咲くんだけは私の言葉の意味を理解して小さく噴き出していた。
尚も私は考え込んだ。
離れてしまった八反田さんの気持ちを、どうしたら引き戻せるのかと。
❤︎
私は期待に応える他ない。
「でもじゃあそのお姉ちゃんは、二人の関係を今どう思っているのかな?」
「そこなんだけどさ」
私が仕方なしに突っ込んで聞いてやると、黒猫くんは待ってましたとばかりに指を鳴らした。
「もう姉は離婚して、今は誰にも縛られず自由気ままに暮らしてるっていうんだから、人間て奇っ怪な生き物だよね」
「人の置かれる状況なんてそんなものなのかもね」
私は深く考えることもせずそんな言葉をざっくりと繋げた。
だって、自分がどうなるかなんて、その時になってみなくちゃわからないもん。
「とりあえず、キミの目下の目標は……」
黒猫くんは突如居住まいを正して、お弁当箱をしまい始めた。
包みを綺麗に縛って、はいお終いとばかりにトートバッグに片付ける。
「慰め役に納まることなんじゃない?」
ベンチから立ち上がった彼の向こうに太陽光があって、眩しかった。
日食のようにそれが丁度重なって、むしろ暗くも感じられる。
表情がまるで見えない。
「夫婦なんて絶対的に喧嘩する仲なんだし。セックスレスって言ってたんでしょ?ならチャンスはそこら中に落ちてるだろうね。誘惑するのも手か……」
そうして、私がデザートに持ってきた兎型の林檎を一つもぎ取られた。
じゃりっと首がはじけ飛ぶ音がした時、彼を求める女生徒の声がして、彼はじゃあねと私に告げた。
「黒咲くん、先生が呼んでるよ」
「風間さんと何してたの?」
そんな声が聞こえたけれど、私は彼女等を振り返らなかった。
からかわれると知っていたからだ。
「あんな事件に合ったのに、もう男といちゃつけるとか信じらんない」
「案外自分でファンと繋がったんじゃないの?」
改めて、林檎を一口齧る。
あの事件以来、毎度のことだともう慣れてしまう。
「誘惑、しちゃおうかなぁ……やっぱり」
私の一言に彼女達は訝しんだ顔をしていたと思うけれど、黒咲くんだけは私の言葉の意味を理解して小さく噴き出していた。
尚も私は考え込んだ。
離れてしまった八反田さんの気持ちを、どうしたら引き戻せるのかと。
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